艤装 | FITTINGの最近のブログ記事

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何と言ってもうみまるキャプテンの奔走と孤軍奮闘、また更には遠く神奈川の葉山サバニクラブの参加等によって大成功裏に終わった昨年の糸満レース。
チーム綾風は、若き艇長見習いの舵取りによる綾風に加えて、南風の二艇でこのレースに参加させて頂いた。我が愛犬「阿修羅」のレースデビューを兼ねつつ、順風・新風・綾風による混成チームで臨んだ南風には、新しく調達したフーを実戦で試すという大切な役割も課せられていた。

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奥武島のレース(南城市長杯帆掛サバニレース)前日の事。

とあるチームの方から、「風に対して上り過ぎてしまい舵が効かないが、これは流れが影響しているのだろうか?綾風はどうか?」と話しかけてきて頂いた。

台風19号の余波によって、リーフエッジの外側では数mの高さの恐ろしい大波がたち、10mを超える強い風が吹いていたその時の奥武島ではあったが、ゾクゾクする程の追っ手でのスピードに乗った滑走を楽しんでいた私は、特に舵の効きに違和感は感じていなかったため、「ウェザーヘルムが強いのかもしれない」と答える事にした。


解け始めた手縄の謎

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風は、海面と接触する際の抵抗によって、相対的に上空の方が安定し風速も速くなる。
舟が止まっている場合は、海面の風も上空の風にもその方向に違いはないが、船が走るに従って、その速度と同じ且つ進行方向と逆方向の風が加味された「見かけの風」に変わってくるため、セールの上下では風の侵入角度に違いが発生する。


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船大工の真似事を続けて5ヶ月。
腱鞘炎とまで言えば大袈裟になるのだろうが、馴れない電動工具を使っての作業は、腕や手の筋肉を強くする方向には働かず、指や手首に傷みをどんどん蓄積していったようだ。作業の後半では、電動カンナが重くて使えなくなる事もあり、元気な若者にバトンタッチをお願いする事さえあった。

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先週の強風下でのセーリングで敢えなく沈をしてしまい、まだ一度も上げた事のない弥帆の竹柱が折れてしまった事は既に触れたが、今日は前回のうちに作っておいた丸太からの削りだしの弥帆柱を付け、うねりが殆どない、風も2〜3mの穏やかな海に出た。
私に弥帆の事をあれこれ尋ねてくるクルーに対して、「弥帆の事は誰にも解らないので、我々で試行錯誤をするしかない」と応えつつ、北風に対してアビームに走らせながら、いよいよその時を迎えた。弥帆の事を考え始めたのは昨年の夏の事だから、実にかれこれ10ヶ月近くの時間が経過した事になる。

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県内の社会人メンバーの多くが公務員である我がチームは、名護レースまで一ヶ月を切った年度末年度始めでもあるこの週末に、サバニの保守メンテナンスの主力メンバー全員が参加出来ない非常事態となってしまった。困った私達のために駆けつけてくれたのは、綾風修復の恩人でもある順風の皆さん。私達が途方に暮れて頭を抱えていた南風の後部の腐れ部分を埋める様に、僅か2時間足らずの間に杉材を複雑な形に切ってぴったりと塞いでくれた。

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その名前は、何となく分銅から来るのだろうとは思っていたが、Wikipediaで調べてみると室町〜江戸時代の両替商で用いられた青銅製の後藤分銅がルーツにあるようだ。これは、サバニに使われるフンドゥの様な鼓型ではないものの中間がくびれていて、銀行を現す地図記号も後藤分銅に由来していると言う。日本では普通に契と呼ばれ、西洋では家具に使われるというこの木の部品が、何故沖縄においてのみ分銅と呼ばれているのかは解らない。

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琉球大学の風樹館にサバニが展示されていると言う事は知っていたが、これ程までに保存状態の良いものだとは想像していなかった。船体の傷みや劣化も少なく、間違いなくこのまま直ぐにでも海に出せるレベルである。
舟はサバアッキサーニ。両舷に浮力体は付けられているものの、エンジンを搭載した形跡はない。舟の中に無造作に置かれていたウェークも間違いなくイークで作られた本物だ。

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引き続き、弥帆の作業を行うおじさん二人。

地元惣慶の船溜りに集う皆さんからは「修理ばかりしていつ海に出るのか?」との質問を浴びせられつつ、自らは木屑とおが屑を浴びながら、朝から夕方まで黙々と作業を行った。

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今年になって初めてプライベートな時間を持つ事が出来た休日の日曜日。
悪天候を心配しながらも、お互いに木工の経験が極めて乏しい同級生メンバーと二人で、昨年の積み残しの作業を再開した。弥帆用のウシカキとハイウシミーの設置作業だ。


From the dialog with Mr. Douglas Brooks, the boat builder and researcher of Japanese traditional wooden boats.

I am almost convinced that the fore-sail of sabani works to slow the velocity of wind at the main sail's lee side, and to move the sail draft forward.

弥帆の役割が、ヨットのジブセールのものとほぼ同じだろうと言う事は、帆掛けサバニ仲間とのこれまでの何回かの議論の中で、曖昧ながら統一された意見になって来ている。

私自身、小型のセーリングクルーザーを所有していた時期があり、メインセールに加えて様々な大きさのジブセールを上げてセーリングした経験を持っている。が、その時の事を思い出しながら弥帆を設計するタイミングになって、改めてジブセールの役割を整理しようとしてみたところ、今まで曖昧なまま済ませていた事が自分自身でも良く解らなくなって来てしまった。

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様々なご縁を辿って知り合いになる事が出来た、奥武島在住の仲村市三郎オジイ91歳。 実際にフーを使い漁に出、ハーリーでは舵取りをされていたという、元海人にアドバイスをもらえる機会はそうあるものではない。南城市のレースを明日に控えた奥武島での最終練習の合間に、そんなオジイに私たちのサバニやその艤装を見て頂く機会を得た。

精神年齢が子供のまま何も進化していないと実感させられるかのごとく、やはりサバニのイベントではいつもより早くそしてすっきりと目が覚めた第二回南城市長杯帆掛けサバニレース前日の土曜日の朝。

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妄想は続く。

大城清さんから貰った、弥帆で艤装した帆掛けサバニの写真のコピーから、帆の形を想像し、引き続き図面に落としてみた。

やはり、フルバテンとも言えなくもないフーザンを備えたサバニの帆は、タックやジャイブの事を考えると、ヨットと違って互いの帆をオーバーラップさせる事は出来ない。弥帆が、その下にスペースを空けるように帆柱の上の方に付けられているのは、前方への視界を確保する為か。また、フーザンは最上部と最下部のものを含めると4〜5本だろうか。

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引き続き弥帆の事を考えている。
現時点での疑問を再度整理してみると、以下のようになる。

・何故ヤフー柱は斜めである必要があったのか?またその角度は?
・ハイウシミーにはフンブーの物のように複数の穴があったのか?
・手縄はどの様になっていて誰が操作をしたのだろうか?

ただ頭であれこれ思いを巡らすだけでは一向に考えがまとまらないため、図面に落としてみる事にした。左上がとりあえず作ってみた図面である。そしてこの図面を描く事によって、その過程でいろいろな事が見えてきた。

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小型のものを除きヨットにはジブセールが装備されている。ジブセールとはフォアセールの一つで、風船の様に丸く脹らませるスピンネーカと違って三角形をしており、荒天時に使う小さなストームジブからオーバーラップジェノアの様にメインセールよりも大きな物まで、風の強弱に対応して幾つかのセールを使い分ける。ジブセールは、追い風の時に観音開きにして使う場合を除いて、通常はメインセールへ効率良く風が流れる様に調整する働きを担っている。

伊江島の舟大工下門氏が作るサバニの写真(左上)をダグラスブルック氏のウェブサイトで見た時に、ヒーザキ(バウ)にある小型のウシカキーの様な物が目に留まった。中央に穴があけられたその構造物は、どう見ても帆柱か何かを立てるために存在しているとしか思えず、知識が無い私はあれこれと考えを巡らせてみた。そして、2006年に初めて目にしたサバニ帆漕レースのルールブックの艤装の項に、「2本帆柱は認められるが、その場合1本の帆柱に対して帆は1枚でなければならない。」とあるのを最初に読んだ時に、何処に二本目を立てるのだろうかと疑問に感じた事を思い出した。

フーの艤装の実際


【フーの帆柱への固定】

フーに取り付けられた最上部のフーザンに一端を結ばれ、マストトップのリングや滑車を経由して一番ウェークの元に下がっているロープをミナーと呼ぶ。

ミナーは帆の上げ下げに使われる、ヨットの世界でハリヤードと呼ばれている物と、全く同じ働きをする物である。

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フーの艤装の実際

【フーザンのフーへの固定】

一枚に成形された平坦なフーに対して、フーザンを取付けるには、パッチを当ててフーザンを縫い付けるか、或いはそのパッチにハトメを打ってフーザンを括り付ける等の方法が考えられる。

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【生地をどう繋ぐか】


持ち帰った生地の幅は1.45m。

仮に高さ5m近いセールを作るとすれば、3~4枚の生地を縦に積み上げて行く必要がある。

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帆柱が短すぎたのか、或いは帆が大きすぎたのか...。座間味レースでは余りの無計画さにメンバーから嘲笑とひんしゅくを買う事になった綾風の帆を一部裁断し、調整をし直す。


生憎な事に近づく台風によって来月に延期となった糸満での帆掛けサバニ走せー大会に向け、予定を立てていた社会人・学生メンバーの合計8人で雨を避けてとまりんのウッドデッキで作業をさせて貰う。


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どちらかと言えば我々サバニ帆漕チーム綾風は、ハーリーによる漕ぎの技術に通じた沖縄側メンバーと、セーリング経験を持つ東京側メンバーから構成されている。

従って、今回のサバニレースに向けてのフーの制作は、東京側からの指示によって沖縄側メンバーが現地の業者とやり取りをすると言うやり方に頼らざるを得なくなっていた。

Myエークの制作

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サバニ用のエーク(櫂:かい)を製作しました。エークは漕ぐためだけでなく帆走時には舵(かじ)としても使われる万能な道具で、その形状はとても美しいです。地元の方にお伺いしたところ、周りの漁船への手信号(エークを振れば応援のお願い、白い布を付けて振ればSOSなど)や、戦いの武器としても使用したそうです。

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3年前に作成した大切な宝物である私の舵エーク。それと同時に漕ぎ用のエークを作った前からのメンバーには不要であるものの、今年はチームメンバーの多くが新しく参加するため、必然的にエークの作成が必要となる。

舟の修理はもちろんの事、少しでもサバニに対する理解を深める為にエーク作りも経験しようというチームの方針に則って、4人のメンバー/関係者と今回は私もエーク作りに挑戦する事となった。

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いつの間にか更新されていたサバニ帆漕レースの公式サイトによれば、今年のレース開催日は 6月28日に正式に決定したとの事、開催の日まで既に今日時点で3ヶ月を切ってしまっている事になる。私はと言えば、ままならない沖縄行きに、まるで昔の遠距離恋愛の頃の様に会えない恋人(舟)を遠く関東から想う日が続いている。

少しでもこちらで出来る事はやっておきたいと、休日は艤装に関してあれこれ考えたり妄想したりする日が続いているのだが、現在の関心事はマストとセール。




復興の大漁旗

手染めにこだわり続けて150年。大漁旗・命名旗のご用命は宮城県気仙沼市・菊田染工場まで。

リンクのお持ち帰りを歓迎致します。

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このブログは、沖縄の伝統帆漕漁船「帆掛けサバニ」の機能美や性能に魅せられた私たちの日常の取り組みを、記録として残している物です。
知識も経験も十分でない駆け出しの私たちが情報発信をする等という事は恐れ多くて出来ませんが、木造舟で独特なセーリングプランを持つ帆掛けサバニの保守や、操船等に関する疑問、解決手段等の私たちなりの見解も、この場で発表出来ればと思っています。
もしもこのブログを介して、既存のレースチームはもちろんの事、帆掛けサバニに興味を持つ人達の間でも情報交換やディスカッションが出来たとしたら、これに勝る喜びはありません。

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