フー考

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何と言ってもうみまるキャプテンの奔走と孤軍奮闘、また更には遠く神奈川の葉山サバニクラブの参加等によって大成功裏に終わった昨年の糸満レース。
チーム綾風は、若き艇長見習いの舵取りによる綾風に加えて、南風の二艇でこのレースに参加させて頂いた。我が愛犬「阿修羅」のレースデビューを兼ねつつ、順風・新風・綾風による混成チームで臨んだ南風には、新しく調達したフーを実戦で試すという大切な役割も課せられていた。

新調したのそのフーの作成に当たって留意したのは前回のエントリーで述べた通り、ドラフトの位置を十分考慮したセールプランにし、ツイストを意識し、且つテルテールを付けて風の流れを確認出来る様にするという点であり、フーの形はもちろんの事、フーザンナーや、フーザンにもこれらの目的を実現するための工夫を施した。南風単独でのレース前日のテストセーリングでは、奇麗に出来上がったフーに対するお褒めの言葉をかけてもらい、実際の走りにもそこそこ満足してレースを迎える事となった。

晴れ渡った晴天下のレース。
上りのレグでは周囲を帆走る舟と競った展開に持ち込む事が出来、複雑なコースでも自由自在に舟を操れる事に満足を覚える事さえ出来た。が、問題は下りのレグである。僅かながら得た上り航でのアドバンテージを吐き出すどころか何度も他艇に追いつかれ、そして抜かれるという事態になった。明らかに下りの際に、フーのパフォーマンスが設計通りに発揮出来ていない。

後日、レース中に撮影された南風のフーの写真を詳しく何度も見返してみた。その結果、色々な事が見えて来た。

先ず、今回のフーでも、一番下の手縄のみを独立させてより引き込んだり出したり出来る様にしてあるが、途中、その手縄が緩んだ事に気付かず、テルテールを見る限りむしろ逆に下のワタの引き込みが足りない状態になっていた事が解った。写真を見れば、一番下のテルテールが真上に向かって流されている事がお解り頂けると思う。
3カ所に取り付けられたテルテールが奇麗に流れる様に調整する事によって更にフーのパワーと効果を引き出せるはずだが、この様なセールシェープではそれを望む事など出来なかったという訳だ。

さて、下り航についてもこの事が大きなパフォーマンス低下の原因になっている事は間違いないが、果たしてそれだけだろうか?
唯一、風を受けて走る下りの場合には、セールをツイストさせておく必要はないはずだ。そう、むしろ逆ではないか?
つまり、本来は下の手縄を独立させて出し引きするよりも、下はツイストの状態を保てる様に固定しておき、逆に、例えば一番上のフーザンにも手縄をつけて出し引き出来る様にする事によって、帆を膨らませてパワーを得る事が出来るのではないだろうか。この為に中間付近のフーザンナーは少し緩めておき、フー全体も現在の帆柱に対して最大限に上方に張ると、更に良いのではないかとも思えて来る。これらを試してみた結果は、改めてこの場で共有させて頂きたいと思っている。

いずれにせよ、苦い思い出や経験の積み重ねも手伝って、やっとフーの様々な箇所を微調整してそのパフォーマンスを上げる努力た工夫をする事が出来る土台が整った、そんな今回のフーの作成だった。

ところで年末の座間味レースの意見交換会での事。

弥帆に関する私の発言について、もしかして誤解があるかもしれないなと思いつつも、口下手な事も手伝ってその場では意見を差し控えさせて頂いたが、私が言いたかったのは、「セールの面積のMAX値が変更、しかも全体の論調からすれば下方修正、になる可能性を残したままで、本ブーと弥帆の面積の合計を制限とする、という案は少し強引ではないか」という事である。
現在の帆の大きさの制限である「3.5 x 5 m」が今後も継承されるとしたら、例えば綾風の場合は約6m2を弥帆用に割り当てる事が出来るため、実はこれで十分な数字なのである。しかし、もしその上限が変更になるとしたら、綾風を含めて弥帆を実装するために本ブーの作り直しを余儀なくされる艇も出てくる等、せっかくルールで認められた弥帆の導入が躊躇される様な事になっては勿体ないなあ、とシンプルに考える次第である。

以上、年末年始の炬燵で考えた事を纏めてしたためてみたが、昨年以上に色々なチームで帆掛けサバニの艤装や帆漕についてのディスカッションが出来ると素晴らしいと思う。

どうぞ、本年も宜しくお願いを申し上げます。

チーム綾風暫定団長 津輕



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このページは、津輕良介が2014年1月16日 19:47に書いたブログ記事です。

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