再び帆の作成

fuzanna.jpg

奥武島のレース(南城市長杯帆掛サバニレース)前日の事。

とあるチームの方から、「風に対して上り過ぎてしまい舵が効かないが、これは流れが影響しているのだろうか?綾風はどうか?」と話しかけてきて頂いた。

台風19号の余波によって、リーフエッジの外側では数mの高さの恐ろしい大波がたち、10mを超える強い風が吹いていたその時の奥武島ではあったが、ゾクゾクする程の追っ手でのスピードに乗った滑走を楽しんでいた私は、特に舵の効きに違和感は感じていなかったため、「ウェザーヘルムが強いのかもしれない」と答える事にした。


舵が効き辛くなる事の一般的な原因としては、セールのドラフトの位置が何らかの理由で変わったか、或いはカーラが大きすぎる事くらいだろうと、私のこれまでの乏しい経験の中で考えた。実際に、手舵で操船が出来ていた「うみまる」が、カーラを少し大きくしたとたんに思う様に操れなくなった事も経験した。そう説明した所その人は、最近フーザンを付け替えたそうで、これまで細い方を船首(帆柱)側に向けていた竹を、逆に設置したのだと言う。
その時は時間がなく、実際のセールを見せて頂く事が出来なかった事が心残りではあるが、実は現在製作中の新しい南風用の帆では、まさに竹の細い方を前にして帆桟として縫い付ける事によって、風を受けた際の帆のふくらみを少しでも前に持って行きたいと考えていた為、私の考えがあながち間違っていない可能性を感じたのだった。

2013はいかじ1.jpg

ところで、セールの前(ラフ)だけでなく、セールの後縁(リーチ)も糸を使って詰める事によってふくらみを持たせる方が良いとする帆掛けサバニ仲間も多いが、確かにそれは追い風での航行には効果的かもしれないが、逆にのぼりのケースでは、私には、セールの後縁を内側から外側方向に流れる「出発渦」がどの様な影響を受けるのかが解らず、風下側が奇麗に流れないのではないかとも考えている。ただし、これと矛盾するのだが、スピンネーカーの驚くほどの風への上り性能を経験した事もある。この点に関しては是非、アドバイスや反対の意見を聞いてみたいと思っているのだが、今回のセールの設計にあたっては、まずはもう一度ヨット乗りとしてセーリングを覚えて来たその原点に立ち返って考え方を整理し、帆掛けサバニの帆にどの様な工夫が可能なのかを一から考え直してみた。

その結果は、大まかに言えば以下の点である。考えてみれば当たり前の事も多い気がするが、

  1. セールのドラフトをワタ単位だけで考えるのではなく、全体として帆柱と同じ縦方向に、且つ前方に持ってくる。
  2. 前縁(ラフ)はやや詰める事が効果的かもしれないが、上りの事を考慮して後縁(リーチ)は詰めない。
  3. フーザンは前側を細くし、且つ微風でのセーリングを考慮して、フーザンナーにテンションをかける事によって故意にフーザンを湾曲できる(前側のみ曲げる)機能を持たせる。
  4. ちゃんとテルテールを装備する。
  5. セールのツイストを十分に考慮する。

と言った具合である。

いずれにせよ、帆にどの風に対してベストなパフォーマンスを期待するのか、によって、そのセッティングは変わってくる筈であり、残念ながら今の私にはオールマイティーな帆の形というのはまだまだ思いつかない。
来月からの糸満での合同練習で、間もなく完成する新しい帆を試す事が、今からとても楽しみに思えてくるのだった。


トラックバック(0)

トラックバックURL: http://blog.helms.jp/mt-tb.cgi/1217

コメントする



復興の大漁旗

手染めにこだわり続けて150年。大漁旗・命名旗のご用命は宮城県気仙沼市・菊田染工場まで。

リンクのお持ち帰りを歓迎致します。

<p style="font-weight:bold;font-size:14px;margin-top:7px;">復興の大漁旗</p><a href="http://www.tairyobata.jp/"><img src="http://www.tairyobata.jp/resources/public/flag_nevergiveup_j_s.jpg" style="border:1pxsolid#ccc;"></a><p style="font-weight:normal;font-size:11px;margin-bottom:8px;">手染めにこだわり続けて150年。大漁旗・命名旗のご用命は宮城県気仙沼市・菊田染工場まで。</p>

アーカイブ

OpenID対応しています OpenIDについて

このブログについて

このブログは、沖縄の伝統帆漕漁船「帆掛けサバニ」の機能美や性能に魅せられた私たちの日常の取り組みを、記録として残している物です。
知識も経験も十分でない駆け出しの私たちが情報発信をする等という事は恐れ多くて出来ませんが、木造舟で独特なセーリングプランを持つ帆掛けサバニの保守や、操船等に関する疑問、解決手段等の私たちなりの見解も、この場で発表出来ればと思っています。
もしもこのブログを介して、既存のレースチームはもちろんの事、帆掛けサバニに興味を持つ人達の間でも情報交換やディスカッションが出来たとしたら、これに勝る喜びはありません。

2013年11月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

このブログ記事について

このページは、津輕良介が2013年9月27日 09:52に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「レーティング(2)」です。

次のブログ記事は「第12回・糸満市長杯帆掛サバニ走せー大会」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。