レーティング

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レーティングとは?

かつて私が所属していた三浦半島の剣崎ヨットクラブ。

そこでは今でも週末になると、メンバーが思い思いのディンギーを駆ってレースを繰り拡げている。

私の愛艇のレーザー、往年の名艇Y-15、トラピーズを艤装したシカーラ、普及型の入門艇シーホッパーやシーマーチン等のモノハル(単船)艇、そして近年ではマルチハル(双胴艇)のホビーキャットや、モス級といった超高速艇までのバラエティーに富んだ様々な舟によって、一つのコースで勝負を繰り広げるのだ。

さてここで、そもそも速さや特性の違うヨットが集まって果たしてレースが成り立つのかという疑問を抱かれる方もいるかもしれない。乗り手の技量に関係なく速い舟がいつも一番になり、どんなに工夫をしても頑張っても遅い舟は順位を上げられない様であれば、幾ら遊びといってもモチベーションが保てるはずが無い。
そこには実は、帆掛けサバニやカヌー・カヤックの愛好家の皆さんにはあまりなじみが無いかもしれないが、レーティングというルールが存在しているのだ。

レーティングとは、簡単に言えば舟の性能を数値化(等級付け)する事だが、異なる種類の主にディンギーヨットが集まってレースを行う場合に、舟そのもののレーティングや乗員・帆の数などに応じて予め定められたヤードスティックナンバー(YSN)を用いて、レースの所要時間を修正してハンディキャップやアドバンテージを均した順位を算出し、純粋に「操船技術=腕」の勝負をしよう、という事を目的にしているのである。

ヨットの世界ではこの数値化の公平性の保証や、ルールの抜け穴を使って性能の割に好条件なレーティングを得ようとする問題等が発生し、従って未だに完成された単一のルールにはなっていない。そこで複数存在するルールの中からレース主催者が一つを選択したり、あるいはクラブや県の連盟独自にYSNを作成してレースを楽しむ、というのが現状でもある。

もしもレーティングについて更に詳しく知りたいという方がいらっしゃったら、是非こちらをご参照頂きたい。私には横文字の羅列が多すぎて少々難しすぎるが...。


帆掛けサバニにおけるレーティングの考え

さて、帆掛けサバニの世界にヨットのレーティングの考えを輸入するのは、決して容易な事ではない。

全てのサバニが、その船体の大きさや形状も重さも排水量も水線長も、帆の形も何もかもバラバラである上に、パドリングという不可欠且つ重要な要素も存在する。先に紹介したレーティングに関する解説記事にもある様に、レーティングはそもそも数値化(等級付け)によってヨットをクラス分けし、同じクラスでレースをする為に設けられた基準である。これらを考えただけでも帆掛けサバニレースへのレーティングの導入は絶望的であるとも思えて来るが、今回の環金武湾帆掛けサバニレースでは、順位には影響しないとりあえずの試みとして、またシンプルに、

  1. アウトリガーの有無
  2. ラダーの有無
  3. そして乗員の数

という2つの艤装に関する観点と、乗員の増減という観点で修正時間の計算(エクセルデータ)を行ってみた。

以前、座間味レースの説明会の際に、古式・ラダー・アウトリガーの三つにクラス分けするという考え方もあるとの意見が出たと聞いたが、私はレーティングをこのような形で応用する事によって、もしかしたらクラス分けをする事無く、また慣れた人も新しくサバニを始めた人も、同じ土俵で全てのサバニが競漕出来るかもしれないと感じている。


今回のハンディキャップは、誰もがわかり易い様にYSN方式ではなく、アウトリガー装備艇はレース所要時間に5%のタイムを、同じくラダー付きの場合は2%、そして舵取りを除いた3人を超える漕ぎ手1人に対して2%を加算(漕ぎ手が3人以下の場合は減算)するという具合に単純に計算をする事にしてみた。


ところで、なるべく曖昧な部分をなくす為にその根拠をちゃんと示しておく必要があるだろう。まだまだ未完成なアイデアでしかない事も予めお断りする必要がある事を認めつつ、以下に記してみたい。


まず、アウトリガーがある場合は舟も安定し、より大きなフーを使えるとともに漕ぎ手もパフォーマンスを発揮し易いため、従来のレース結果も参考にしながらとりあえずの叩き台として5%を設定してみた。但し、最近では単船であっても座間味レースで定められた制限ぎりぎりのフーを使うチームも出て来ている為、5%という数字は減らす方向で見直す必要があるかもしれないとも考えている。

ラダーの場合は、足を使って舵を取る場合が多いため、まずは漕ぎ手1人分と同じ2%を加算する事とした。前項同様に、ペダルを使わずに舵取りの両手を占有するラダーの場合は除外する必要があるだろうし、そもそも漕ぎ手の2%と同じというのももちろん再考の余地はある。

そして、漕ぎ手1人の2%の増減の基準としたのが、前述の様に3人+舵取りの4名という構成なのだが、これは小さい舟でも水線長が長い大型の舟と勝負が出来る様にする事と、いたずらに漕ぎ手を増やして船足を上げるだけでなく、よりセーリングの要素を重要視したいとの考えによるものである。もちろん大人数の漕ぎ手が乗船出来る舟はそれだけ大きく、その事自体のアドバンテージも考慮してある。但し、この2%の妥当性も、何回ものレースを経る事によって洗練されて変わって行くべきものでもあるだろう。


さて、今回の試みにおける、5%、2%、そして4名(2%)という乗員の基準が相応しいものだったか否かを考察してみたい。


(続く)


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このページは、津輕良介が2013年9月 6日 12:47に書いたブログ記事です。

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