レーティング(2)

環金武湾帆掛けサバニレースの結果考察

1位のエミ丸8、そして2位のうみまる(チーム名はうみ源風Special)の圧倒的な速さは、YSNによる補正の前後で全く変わる事はない。ただ、これら2艇では乗員数に違いがあり、224秒あった着順での時間差が、修正後には62秒に縮まってしまっているため、あと少しで順位の入れ替えの可能性もあった事になる。

特筆すべきは、アウトリガーとラダーを装備して多くの乗員で望んだ「あけみお」と古式の純礁ではないだろうか。着順で3位だったあけみおは修正順位で6位まで下がってしまい、7位の純礁が4位にまで順位を上げてくる事になる。

3位あけみおと、2位のうみまるの計測時間の差は約35分。同様に4位の順風との差は約7分である。順風から7位の純礁までの差は3分と4艇がほぼ団子状態であり、あけみおはこの第2集団末尾との時間差の中で順位を3つも下げてしまった事になる。ちなみに、あけみおのレース所要時間に対する、純礁との時間差は約5.1%であるが、あけみおが、修正タイムにおいても着順通りの順位を維持する為には、今回の所要時間を19分縮めるか、あるいは乗員を減らす等によってハンディキャップを減らす必要があったという事になる。

ちなみに、今回のハンディキャップを半分に、つまり2%を1%に、5%を2.5%に変更したとしても、参考修正順位に変化は無かった。


レーティングの可能性

繰り返しになるが、ディンギーレースの世界ではごく当たり前のレーティングというルールを、不公平感無く帆掛けサバニレースに導入するには幾つもの障壁があるだろう。何よりも、楽しいレースでなければ参加者も集まらないので、このルールが参加者を不愉快にする様な事があっては本末転倒だ。私自身アウトリガーやラダーを否定する気持ちは毛頭ないものの、人によっては古式に有利なルールと感じる方がいるかもしれない。

また、レーティングの中でもとても重要な水線長に関する要素を、乗員の数という別の指標で置き換えてしまっている事も問題視されるべき事かもしれない。


ちなみに、水の抵抗によって舟が加速しにくくなるスピードであるハルスピード(Vhull)は、水線長の平方根にある定数を乗じて求められる。高速域での舟の特性は水線長に比例するため、よって、より長い舟程ハルスピードが速いという事になる。


レーティングの実施には、更に多くのデータのサンプリングと、それに基づいた検討が必要になる事は言うまでもないだろう。何よりも、着順が即ち順位ではない事を参加者が受け入れるまで相応の時間を要する事は想像に難くない。ただ、例えこの試みが環金武湾帆掛けサバニレースに限った物であったとしても、私としては全てが違う舟を使う帆掛けサバニレースが、一つの確立されたスポーツ・競技として裾野を拡げつつ発展して行く為にも、この試みは継続してみたいと思うのだった。


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このページは、津輕良介が2013年9月17日 11:23に書いたブログ記事です。

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